あつじ屋日記
まんが家・山本貴嗣(やまもとあつじ)の日記です。 作品から日々思うことまで色々書いてます。
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「見下ろし目線」で語ること
 先日友人と「見下ろし目線で語る人」について話しました。

 「見下ろし目線」かどうかは大雑把に二つ重要な要素があると思います。
 一つは語る側に聞き手に対しての差別意識があるか。語る側が自分は聞き手より上等な人間であると思っているか。
 もう一つは聞く側に被差別意識があるかどうか。劣等感があって話し手より自分は劣った人間だと思っているかどうか。

 最初にお断りしておきますが、私は人間の貴賎などというものは一つの錯覚だと思っています(社会が決めた慣習上の身分や階級は地球上のあちこちに存在しますが、それは時と所で変わるものです)。

 実は話した友人はお坊さんで、その方が同業者の一般の人々に対して「見下ろし目線で語る」態度に同意しかねるというのがきっかけだったんですが(お釈迦さまが見下ろし目線で説教されただろうか、聞く人の立場に立って話されたんじゃないだろうか、という)
 まず、何か悟りに向かって修行が進んだ分、他の人間より自分は上等になったと思うようになった時点でそれは道を誤ってるでしょうから、論外だと思います。
 また、お釈迦様の教えに「人を見て法を説け」というのがあったように思いますが、それは百人に百通りの語り方があるということで、吊るしの服のように全員同じ服を着せることではないでしょう。厳しい言い方をした方がためになる人、優しく言った方がためになる人、相手に応じて語り方を変えられただろうと思いますし、それは時代を超えて智慧ある人の態度だろうと思うものです。

 人間あるジャンルで他人より学びが深い人はいるのが当然で、だからこそ病気になったら医者に行き、法律で困ったら弁護士に相談に行く。
 それはあくまでその分野で自分にない知識と知恵を借りに行くわけで、世間的には相談される側が「先生」などと呼ばれますが、だからといって人間的に上下や高低があるわけではありません(非礼な態度でタメ口で接しましょうという意味ではありません)。
 ただ「先生せんせい」などと言われている内に、勘違いして何か自分がエラくなったような錯覚を起こす人はいます。
 一方、やたらと劣等感の強い人もいて、ただ他人が自分の知らないたことを語っているだけで、自分が馬鹿にされたような気がしてきて敵意を燃やす。私はこれを「自爆型」と呼んでいます。その手の人は誰も差別していないのに勝手にされたと思い込む。

 昔ネットで読んだ記事ですが、夜間学校か何かの先生の書かれたもので、その方がある学校で教え始められたとき生徒さんがなかなか打ち解けてくれない。困っているとあるとき一人の生徒さんが
「ネクタイなんかしやがって」
 と言われた。
 いわゆるブルーカラーの社会人の多いクラスで、皆さん職場で時には自分より若い上司にただ学歴が違うというだけで馬鹿にされたり差別される。そういう上司はたいがい作業服ではなくネクタイをしてる。そのためネクタイを見ただけで嫌な記憶がよみがえって心を開く気になれなかった。
 その先生はそれに気づいて反省され、次からノーネクタイで授業をされるようになり、次第に生徒さんとも距離が近づいたというような記事でした。

 この場合、その先生に何も罪はないし見下ろし目線があったわけではないと思うのですが、聞き手の側には劣等感があった。
 無論だからと言って生徒さんが悪いわけでもなく、不幸な過去と不幸な思い違いがあったと思うものです。

 私が子どもだったころも、人と変わっているというだけで発生するイジメはありましたが、話に聞くと近年それがかなり悪質で過激になっているようです(一々情報の裏をとって確認したわけではないので、実際どこまで本当かはわかりませんが)。
 ある人はある人より勉強ができたり、運動ができたり、美貌に恵まれたり、金持ちだったり
 違いはいつの世にもありますが
 だからと言って上等な人間や下等な人間がいるわけではありません。

 卑劣な殺人鬼と聖人賢者を同列に語るのかというツッコミもあるでしょうが、それは社会秩序という点では区別されるでしょうが、おそらく聖人賢者と呼ばれる人々が、「自分はこの犯罪者よりも悟ったエラい存在である」と自負していたとは私には思えません。
 悟りは「差を取ること」という話もあるくらいで(笑)
 自他の区別なく慈悲を持つことが叡智の道であることを思えば、そこに独善的な優越感などは入る余地がないと思います(毎回補足しますが、人権を名目に犯罪者を野放しにすることとかではありません、念のため)。


 それから、世の中には一部に「叱られたい人」というのが存在するようです。
 心中自分のあり方に疑問を持っているのだけれど、親や教師には反発していたり、まともな教育をしてくれる親や教師に恵まれなかったり。
 で、きちんと叱ってくれる人を心の底では求めている。
 そういう人には、ある意味多少の見下ろし目線の説教が、ちょうどいい導きになる場合もあるかも知れません。
 一方で、その心のスキマにつけこむ、やたら見下ろし目線で叱り付けるまがい物の説教屋がもてはやされたりもします。

 大雑把に言うと、世の中には本当に「見下ろし目線」でそう思われてる人と、全然そんな意識はないのに「見下ろし目線」だと思われてる人がいる。また、その中間の段階の人もいる。自分の心の中には一点の曇りもないほど優越感も差別意識もないと断言できる人はそういないでしょうから。
 そういう私も、時々立ち止まって自己点検しますが、ある種のくだらん優越感とか見下ろし目線な意識を見つけて「訂正削除」することがあります。
 そういうものは、ただ自分の人間性を下げるだけでなんの得にもなりません。
 たぶん一生かけて「掃除」していくことになるのでしょう。

 ちなみに、この手の話をアップしているのも、自分が色々道を求めてさまよっていたとき、ご自身の「研究成果」をまとめてアップしておいでの方の記事にずいぶん助けられた経験があるからです。
 どんな方の記事も、限られた知識と経験に基づくその方なりの見解ですから、けして妄信することなく、一つの手がかり足がかりとして参考にさせていただきました。今もそうです。
 今はネットが発達して、昔はあちこちに話を聞きに言ったり書物を調べに駆け回らなくてはならなかったものが、自分の部屋で居ながらに短時間で知ることができます。
 私も、そういう過程でお世話になった見知らぬ方に、なにもご恩返しもできないかわり、同様に道を模索しておいでの方の、何か踏み台になれたらと思うものです。

 きょうも良き日をお過ごしください。
 ありがとうございました。
コメント
この記事へのコメント
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2011/02/21(月) 19:57:16 | | #[ 編集]
ありがとうございます
>2011/02/21(月) 19:57:16 にコメントくださいました方へ
 ご丁寧にありがとうございます。
 すべての人に好かれることは不可能ですし、極力失礼や悪意のないよう気を配るのが限界かと存じます。
 可能な限り調和ははかるけれど、あとはどうしようもないことです。
 池波正太郎氏の小説に「人間いいことをしながら悪いことをし、悪いことをしながらいいことをする」というような言葉があったと思いますが、まことにそういう生き物ですから、人を責めず己も自虐に陥らず、地道に生きて死にたいと思っております。
 ご自愛ください。
 ありがとうございました。
2011/02/21(月) 23:42:09 | URL | 山本貴嗣 #pmWGJPUI[ 編集]
見降ろさなかったら馬鹿にされてしまった
>同業者の一般の人々に対して「見下ろし目線で語る」態度に同意しかねる

山本先生、微妙な突っ込みをさせていただきます。

人は自分より優れた人の話や言うことを聞きたいと思うことがあります。自分より劣る者の言うことを喜んで聞き勉強したいとは思わない事がしばしば。これは勉強において時間的な制約もあることなのでいたしかたがありません。

すなわち、師たらんと欲すれば、師らしくふるまうこと多し。師に習わんと欲すれば、師らしきものを拝す。お互いが求めるところが噛み合えば、商売としては栄えることでしょう。

もし、師が師らしくなければ商売としては失敗しているとも考えられます。

いやいや、実に微妙な突っ込みでございます。

後光なんぞという言葉もございます。説法は、非科学的ではございますが、口先ならぬ身に染みた言葉にて、聞き手の身に染み入る(本人が理解するか聞くかはおそらくどうでもいい)ものが最上かと勝手に思っております。

そんなことできるのか?容易でありません。でも、出来ないと思っちゃたぶんだめなんだと思います。ではでは。
2011/02/22(火) 01:32:49 | URL | やすやす #-[ 編集]
コメント感謝♪
>やすやすさま
 コメントありがとうございます。
 まず、見下ろし目線で語られたい方がいらっしゃることは理解しております。
 ただ偉そうな人が偉い人というのは一種の考え違いだと思います。
 無論薄汚れたホームレスのようなかっこうで大学教授とか言われても困りますし、それぞれ立場にふさわしいいでたちというものはあると思います。
 この件また一項を設けてブログに書きます。
 ありがとうございました♪
2011/02/25(金) 00:11:15 | URL | 山本貴嗣 #pmWGJPUI[ 編集]
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