あつじ屋日記
まんが家・山本貴嗣(やまもとあつじ)の日記です。 作品から日々思うことまで色々書いてます。
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動物にごはんを「あげる」
 以前新聞記事だかテレビだかで、犬猫やペットに、ごはん(食事)を「あげる」というのは、間違った日本語である。そういう丁寧な表現は人間が下位の動物に使う表現ではないという識者の話を見たことがあります。
 そのことの是非を突き詰めるつもりはありません。
 ただ私は、その説を、いや、その「考え方」を採りません。

 学校の現代国語の問題の回答とかなら、そういう原則にのっとって答えておいたほうが正解なのでしょう。

 動物が人間より下位というのは、生物の進化とか、世の中のポジションという意味では「あり」ですが
 少し視点を変えてみれば、どちらが上か下かなどというのは意味がないし、どうでもいいことです。
 「動物は神が人間のために作りたもうた存在である」という宗教を信じておられる方には、その線引きは明確なことかもしれませんが、私はそういう信念体系は持っておりません。
 東洋には輪廻転生思想があり(本当は西洋にもありましたが、キリスト教やイスラム教等によってほぼ駆逐されてしまいました。肯定する者は異端として弾圧排除された歴史があります)小さな虫であっても、実は誰かの生まれ変わりか、あるいは「明日のわが身」かもという視点がありました。
 そこには西欧のような明確な、上下関係や線引きが、なされていないように思います。
 だからと言って、日本人が動物にみな慈悲深かったなどと言うことはなく、近年まで(一部にはいまだに)「犬畜生」という言葉に代表されるように、ゴミのように扱われる動物がいます。

 ただ、愛犬家、愛猫家、その他生き物好きの方にとっては、動物といえど家族であり、「えさをやる」と言うよりは「ごはんをあげる」と言うのが、より正確にその気持ちを表していると言えます。
 その方が、「えさ」を「与える」動物を、心の中で自分より劣った存在として見ておいでならば、もしかしたら「あげる」は不適当な表現かもしれませんが、友人や家族と見なしておいでなら、何も間違ってはいません。
 それをあえて「あげると言ってはいけない」などと言うのは大きなお世話であり、人の思想信条、ひいては信仰の自由の侵害です。

 動物とは少し異なる話ですが、聖書にあるイエスの言葉に
「わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである」
 というのがあります。
 マザーテレサが、行き倒れた貧しい人々のお世話をしながら、その人々の中にイエスを見ていたのは、その言葉どおりのことです。
 そこに、上位の者が下位の者を世話してやっているのだ、というような差別感や優越感はありません。
 そういう見下げた視点の「慈善」は、見捨てるよりはマシでしょうが、貧しい一種の「偽善」です。

 人は、誰か困っている人を助けたいと思っても、自分の問題で手一杯なことが少なくありません。自分も病気だったり貧しかったり、仕事や勉強に追われていたり、思うようにはいきません。
 面倒くさいこともあれば、勇気がないこともあります。
 そういうもろもろの障壁を越えて、誰かのお役に立てる機会が得られるというのは、人生で限られたものであり、大変光栄な、ありがたいことではないでしょうか。
 それを「自分は~~してやっているのだ」などと思うのは、せっかくの機会と行いをわざわざ自分でおとしめる、大変もったいないことだと思います。

 私はたとえ相手が動物であっても「世話してやっているのだ」などとは思いません。
 たとえば通い猫のしろさんに、寒い晩寝床を用意するのは、私が「お世話させていただいている」のであり、何か見下すべき下位の存在に「施しを与え」ているのではないつもりです。
 物理的には地球上の食物連鎖の頂点に立つ人類の一人として、命ある他の存在を食べますが、だからと言ってサメがイワシより「えらい」わけではないのと同様、私がすばらしい存在であるわけではありません。
 あまりあり得ない選択ですが考えられるケースとして「猫を助けるか、人を助けるか、二つに一つ」というような選択を迫られることがあれば、人間の法を遵守して人を取るつもりではありますが、「自分と猫とどちらか一つ」と言われると、即答しかねるところがあります(その場の状況次第かも)(笑)。

 とまあ、いささかとりとめのない話になりましたが
 
 文法的に間違いと言う方は言われて別にかまいません。議論する気はありません。
 厳密には間違いだったとしても、文学的には「あり」でしょう(雨降りを詩的に表現して「空が泣いている」とか言うのを、頭がおかしいなどと言わないように)。
 そういうわけで私はこれからも、動物にごはんを「あげて」いきます。


追記
 そういえば、私の友人の親戚の女性で、開腹手術から退院して帰宅途中、川で溺れてる猫を見つけて思わず飛び込んで助けた方がいらっしゃいます。確か即再入院されたと思いますが
 なかなかできないことで、尊敬いたします♪
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