あつじ屋日記
まんが家・山本貴嗣(やまもとあつじ)の日記です。 作品から日々思うことまで色々書いてます。
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『人生の短さについて』
『人生の短さについて』
 『人生の短さについて』
  セネカ・著/茂手木 元蔵・訳/岩波文庫

 有名な古代ローマの皇帝、暴君ネロの、若かりしころの教師であり、最後はネロの命令で自殺させられた有名なセネカの著作です。
 以前このブログでも少しだけご紹介しました哲人皇帝マルクスアウレーリウスの『自省録』と並ぶ名著だと思います。
 私の持っている岩波文庫版は、表題作の『人生の短さについて』の他、二編(『心の平静について』『幸福な人生について』)が収められています。 
 先ほどアマゾンで見たところ、古書のみの扱いになっていましたが、他社から出た同じタイトルの本もありますし、まだ入手は可能と思われます。(こんな名著を絶版にすな!)

 ざっと見ても、はさんだ付箋が多すぎてどこをご紹介したものか迷うのですが(笑
 きょうはその第一弾ということで、さわりを少し♪

<幸福な人生は、人生自体の自然に適合した生活である。そして、それには次の仕方以外にはない>
<まず第一に、心が健全であり且つその健全さを絶えず持ち続けることである>
<第二に、心が強く逞(たくま)しく、また見事なまでに忍耐強く、困ったときの用意ができており、自分の身体にも、身体に関することにも、注意は払うが、心配することはない>
<最後に、生活を構成するもろもろの事柄についても細心ではあるが、何事にも驚嘆することはなく、運命の贈物は活用せんとするが、その奴隷になろうとはしない。こういった仕方である>

 「注意は払うが、心配することはない」
 とか
 「細心ではあるが、何事にも驚嘆することはなく、運命の贈物は活用せんとするが、その奴隷になろうとはしない」
 という在り方は、私も理想とするところで(ということは無論完全な実現などしていないわけですが)日々努めているところです。
 蛇足ですが、拙著の登場人物では、『戦闘女神アヌンガ』の脇役、主人公の親友である聖(ひじり)君などがそうです。
 心配ばかりして注意はおろそかであったり、運命はずさんに扱いながら、それに翻弄され奴隷となって生きることに、ほとほと疲れ果て、心の底からもったいないと思うとき、人は自然とそういう道に分け入っていくのではないでしょうか。
 
 セネカは言います。
<けだし、あらゆる凶暴性は小心から来るものである>

 なんだか言いたいことはほとんど言ってくれてる感じですが(笑
 今ある現実から逃避して、人生をおろそかに生きる人をこう定義した下りがあります。

<彼らは夜の来るのを待ち焦がれて昼を失い、朝の来るのを恐れて夜を失う>

 「今ここ」を見失った生き方をあらわすのに、これほどうまい表現を私は見たことがありません。
 
 セネカは、ローマの有名な暴君、カリグラとネロ、両方の時代に生きた(残念ながら生き抜くことはできませんでしたが)政治家でした。
 隠遁した哲学者などではありませんから、けして清廉潔白であったわけでも、理想どおりの生き方を遂行できたわけでもありません。そのことは本人も認めていて、ただ自分は理想に向かって努力している途上の人間に過ぎないという意味のことを言っています。
 ネロから賜った死を彼がどう処したかは、またの機会にご紹介しますが(ネットで検索されれば、おそらくすぐに出るかと思います)、本人がかねて思い描いたように、淡々と、しかし豪快な最後だったようです。
 今回は、以下の言葉を引用して終わりにします。

<心には寛(くつろ)ぎが与えられねばならぬ。心は休養によって、前よりも一層よき鋭さを増すであろう。肥えた畑は酷使してはいけない。つまり一度も休耕しないで収穫だけを上げるならば、畑はたちまち不毛の地に化するであろう。それと同じように心も休みなく働くと、その活力をくじかれるであろうが、少しでも解放されて休養すると、再び活力を取り戻すであろう。心が休みなく働くことから生ずるものは、或る種の無気力と倦怠感である> 

 きょうも良き日を。
コメント
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2009/11/12(木) 23:32:24 | | #[ 編集]
私もでした(ある意味今も
>2009/11/12(木) 23:32:24 にコメントいただきました方へ
 コメントありがとうございます。
 お書きいただいた文章、ほとんどそのまんま、数年前の私です。
 状況は今もそう変わってはいません。
 明日など見えませんし、ヘリコプターのようにエンジンが止まったとたん墜落するような暮らしです。
 自分の外を変えられないなら(変える工夫はしますが)変えられる自分を変えてみよう。
 そう思ってきました。
 おかげでずいぶん身軽になりました。
 ブログで色々ややこしいことを書いてますが、自分の経験が少しでも何か、同じような道を歩んでいられる方の参考になればと思い、アップしております。
 どうか良い風が吹きますように。
 お心を安んじられますように。  
2009/11/13(金) 01:29:26 | URL | 山本貴嗣 #pmWGJPUI[ 編集]
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