あつじ屋日記
まんが家・山本貴嗣(やまもとあつじ)の日記です。 作品から日々思うことまで色々書いてます。
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生きる思い
 あちこちのネットニュースで取り上げられてますが
 ピクサーのアニメーション映画『カールじいさんの空飛ぶ家』を、死ぬ前に見たいという米カリフォルニア州に住む末期ガンの10歳の少女コルビー・カーティンちゃんの願いをかなえるため、両親からのリクエストを受けたピクサーのスタッフがDVDを携えて同家を訪問。
 無事全編を見たコルビーちゃんは、「おもしろかった?」という両親の問いに「うん」と答え、その7時間後に亡くなったとか。
 両親はピクサー社に感謝の意を述べているそうです。

 ええ話や;
 と思ったんですが、それで思い出したのが、数日前に読んだ新聞のこと。
 2009年6月21日の読売新聞に載っていた
 「猫ばぁ娘の夢と歩む」
 という記事です。
 同紙より一部引用しますと

<東京都多摩市のマンションの一室で、「猫ばぁ」こと南里妙香(なんりみょうこう)さん(90)が3匹の猫と暮らしている。妙香さんは「猫の森 多摩」の住み込み管理人だ。
 生前の契約に基づいて飼い主の死後に猫を引き取り、快適に暮らせる環境を最後まで提供する---そんな「猫の森」の仕組みは、妙香さんの一人娘、秀子さん(51)が考えた>

 この猫ばぁこと妙香さんは、尼僧さんです。

<最初の夫は戦死し、次の夫とは離婚。茨城県の寺の住職だった3人目の夫との間に、秀子さんをさずかった。
 その夫は約10年後に脳梗塞で倒れ、寝たきりになった。檀家の葬儀や法事の時は知り合いの僧侶に代役を頼んだが、やがて「自分たち夫婦の寺なんだからわたしがやろう」と思い立った>

 妙香さんは、夫の介護を娘さんにまかせ、猛勉強を始めます。資格取得に必要な修行にも参加。

<4年かけて資格を得た日、夫は泣いた。亡くなったのは翌日のことだ>


 私はこの記事を読んだ時、胸打たれるものがありました。
 コルビーちゃんとピクサーの話を聞いたのはその数日後。
 目的はまったく違うし、細部も違うけれど、この二つには、何か「生きること」と人の「思い」というテーマで共通するものがあるように思います。
 この世に気がかりや心残りを置いて死ぬことを「念が残る」などと言いますが、すべての願いをかなえることはできなくとも、一番の気がかり、一番の願いをかなえて逝ける人は、それさえかなわぬ多くの人に比べれば幸せではないでしょうか。
 そういう最後を迎えられるというのは、世の中でも限られたケースなように思います。
 ある程度年齢がいって亡くなられた妙香さんのご主人と、わずか10歳で亡くなったコルビーちゃんを同列に語るわけにはいかないでしょうが、お二人の「思い」に思いをはせると、いずれも何か厳粛な気持ちにさせられました。

 ご主人の寺をついで20年以上もがんばってきた妙香さんもさすがに高齢になり、そろそろ引退かというころ、キャットシッターをしていた娘さんから、「猫の森」を始める話を聞き、こっちにこないかと誘われ、今はそちらの管理人になられたとか。
 新聞には娘さんと並んで座る妙香さんのひざで、頭をなでられて目を細める大きな猫が写っていました。

 どんなに願っても人の力では伸ばせぬ寿命というものもありますが、時として「思い」の力が小さな奇跡を生むように思います。

 生きとし生けるものが幸せでありますように。
 生きとし生けるものの苦しみがのぞかれますように。
 生きとし生けるものの願いがかないますように。
 生きとし生けるものに悟りの光があらわれますように。

 きょうも良き日を。
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