あつじ屋日記
まんが家・山本貴嗣(やまもとあつじ)の日記です。 作品から日々思うことまで色々書いてます。
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相互関係の条件(『結局、自分のことしか考えない人たち』より)
『結局、自分のことしか考えない人たち』

『結局、自分のことしか考えない人たち』
 (サンディ・ホチキス著/江口泰子=訳/草思社)

 同書によると、著者は
<公認ソーシャル・ワーカー。カリフォルニア州パサディナで開業し、個人、カップル、家族を対象にセラピストとして活躍。カリフォルニア臨床ソーシャルワーク協会会員、南カリフォルニア大学ソーシャルワーク修士課程講師>
 だそうです。

  <自己愛人間とどうつきあえばいいのか>
 という副題が付いてます。

 <ときどきこの世は、思いやりなどまるでなく、自分の目的のために相手を利用しようとする、自分本位な人であふれかえっているように見える。彼らは、自分の欲求は他人の欲求より重要で、何事も自分の便宜がはかられて当然と考える。思い通りにならないと、暴君のように怒り狂ったり気の毒なほど落ちこんだりする。そのため、波風を立てないほうが無難に思えて彼らの要求に応じてしまうことも多い。
 わたしたちはみな、そのような人を知っている。自分の親やきょうだいや子どもかもしれない。配偶者や恋人や友人、同僚や上司、あるいはクラブや会のメンバーかもしれない。彼らはどこにでもいて、彼らの人生とわたしたちの人生がからみあうほど、惨めな気持ちにさせられる>

<その病はその本質ゆえに、私たちをお互いどうし遠ざけるだけでなく、現実からも遠ざける。そして、わたしたちが手にいれたい、こうありたい、と願うものの実現を妨げる。その病名を自己愛(ナルシシズム)といい、多くの社会悪の裏に潜んでいる>

 といった導入で始まるこの本は、5つのパートに別れていて

第一部では、自己愛人間の思考や行動の特徴を「七つの大罪」として紹介する
 この「七つの大罪」はキリスト教で言うそれ(映画『セブン』などでおなじみ)ではなく、自己愛人間の七つの特徴です。いわく

<恥を知らない
 つねに歪曲し、幻想をつくりだす
 傲慢な態度で見下す
 ねたみの対象をこき下ろす
 つねに特別扱いを求める
 他人を平気で利用する
 相手を自分の一部とみなす>

第二部では、自己愛が、より完全な人間になる過程で、だれもが幼児期に通過する正常な発達段階であることを説明
 し、(つまり裏返せば、その状態を成人しても持ち続けている人間は正常とは呼べないわけです)

第三部では、自己愛人間の被害から身を守る四つのサバイバル戦略を紹介する

第四部では、とりわけ対処が厄介な状況について詳しく述べ

第五部では、将来に視線を据え、わたしたちを取り巻く不健全な自己愛を抑制するためになすべきことを考える

 私(山本)が一読した限りでは、かなり、私たちが人生で出会うその種の困った人々を分析理解し、対処する際の参考になるように思えます。
 100%健全な(何を基準にするかでも変わりますが)精神の持ち主というのはそういるものではなく、人それぞれなんらかの問題点、ひずみを抱えているものですが、同書は自分の中に潜む問題点、隠れた思い癖、反応のあり方を見つめなおす、よいガイドブックにもなると思うものです(私にとってはそうでした)。

 引用したい箇所は山ほどありますが、とりわけ紹介させていただきたいと思った箇所がこれです。

相互関係の条件

 1 それぞれが提供し、それぞれが利益を守る。与える側と受け取る側が説明しあう必要はなく、まったく同等である必要もないが、重要なのは、提供したものと引き換えに価値あるものを受け取っていると感じられることだ。

 2 与える側と受け取る側の役割に柔軟性がある。暗黙の了解にせよ、正式な契約にせよ、与えるタイミングと受け取るタイミングを心得ている仕組みがある。関係が続くかぎり、双方がこの点について公正感をもつ。

 3 双方が自分の貢献が評価されたと感じ、受け取ったものにたいし感謝の意がもてる。

 4 双方で分離と境界が重んじられる。軋轢(あつれき)が起こった場合は、お互いの感情や立場を尊重しあって、双方が不和の解消に乗り出す。

 5 「スコアブック」をつける必要はない。だれが何をし、だれがだれに「借りがある」などと記録するのは、関係が相互的でないと感じるか、ギブアンドテイクの不規則な流れに困っている証拠だ>

 この5項目は、自己愛人間と対するときだけでなく、日常の恋人、友達、家族その他の人々と気持ちの良い人間関係を築く際の、よい目安になると思います。
 力関係がすべてを決めたりする一部の商売などは別として
 心置きなく長い付き合いをしたい相手には、このチェックポイントは大変有用なものではないでしょうか。
 私は「愛と敬意と感謝」を持ち合えない相手とは、友情や愛情は成立しないと思うのですが、それをより具体的に表したものとも言えるかもしれません。
 この5項目に出会えただけでも、私はこの本を買った甲斐がありました。
 ほかにもご紹介したい部分は多々ありますが、それはまた後日。ではまた♪
コメント
この記事へのコメント
これはまた
記事を拝見し、実際に書店で少し読んでから買いまして、いつになく時間をかけてゆっくり進んでいるのですが、いやこれは秀逸ですね。

自己愛人間というのがいて、おかしなことをする、それはまあよくいわれることなのですが、この本の遠まわしな真意というのは、彼らに影響を受ける、ことさらに気になって嫌な思いをする、そういう者も実は自己愛人間なのだと、ここにあると思います。本屋でさわりを一読した瞬間にそう確信しまして、これはレベルが違うと。

私は常々あいつは人格障害だ自己愛だと言って暮らしておりますが、たぶんまともな人間はそんなのに関心をもたないで、流せるんですね。「受ける」のは自己愛人間だからなのです。以前からそうではないかとはうすうす思っていたのですが、やはり私と相手との共同作業、化学反応のたまものだったのです。

ドン・ファンの「小暴君」、ミンデルの「厄介な人物」などありますが、やはり問題はすべてこちら側、私の中にあったのです。私次第だったのです。『自己愛人間とどうつきあえばいいのか』とは、「狂った環境で育ったために異常な反応をしてしまう自己愛人間であるところの自分をどう扱うか」ということで、また挙げられている対策も、むやみに掘り返すことをせず自らを省み、かつ相手に対しても毅然としたもので、非常に質が良いと感じました。
2009/06/02(火) 21:57:49 | URL | カルマヨギ #-[ 編集]
人は鏡ですね
>カルマヨギさま
 同感です。
 人は傷つけることによって傷つき、傷つけられることによって傷つける生き物のような気がします。
 人生で出会った不愉快な人々は、そのまま鏡として己を反省する手がかりでした。
 まだまだこれからもそうなのでしょう。
 ほどほどにして欲しいというエゴはありますが、ありがたいことだと思います♪
 同書、お口に合いましたようで幸いでした。
 カルマヨギさまも、お勧めの本がありましたら、またご教示くださいませ。
2009/06/02(火) 22:56:47 | URL | 山本貴嗣 #pmWGJPUI[ 編集]
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