あつじ屋日記
まんが家・山本貴嗣(やまもとあつじ)の日記です。 作品から日々思うことまで色々書いてます。
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身口意/後先になりながら
身口意
 人のすることは、おおざっぱに分けて「すること」「言うこと」「思うこと」の三つです。
 仏教で言う「身口意(しんくい)」というやつで、密教ではまた少し専門的な意味がありますがそれは今は置いといて;

 三つは互いに関連していて、思いがより具体化したのが言葉で、もっと具体化したのが行動です。
 でも、精神が肉体に影響するだけでなく、肉体が精神に影響する(身体的ストレスで精神も病んじゃうみたいに)場合もあるので、これらは互いにフィードバックし合っています。
 乱暴な口のききかたを続けてると、なんか気分まで攻撃的になってくるとか。

 んで、思うんですが
 この三つって、互いに「あとさき」になりながら進んでくもんですよね♪

 よく「心にもないことを言う」とか言いますが
 本当に心と言葉と行動を100%一致させてる人がどれほどいるでしょう。
 私も含めてほとんどの人は微妙にちぐはぐなんじゃないかと思います。

 つい口がすべって、その場のノリできついことを言い過ぎちゃったとか
 かっとなって手を出したが、別に乱暴する気はなかったとか(だんだんシャレにならなくなりますが)
 いうケースが世の中にはままありますよね。
 逆に、思ってることを半分も表現できなくて後悔するとか。

 やりすぎにせよ、不足にせよ、心の奥底で思っていながら意識としては自覚していなかったことが、行動という形で具体化した場合と、本当にもののはずみで心とは別のことが起きちゃった場合と両方あると思います。
 若いころは、えてして潔癖症なもので、自分も昔、この「中身と外見が一致してない」ことがイヤ(自分のことは棚に上げてるとこが、また思い切り若者)だったんですが、あるときエッセイを読んでいて(筒井康隆氏のだったか)いわゆる「だんな芸」というものも、やってる内に誉められながらだんだんモノになってくるんだから、あれはあれでいいんだという文章を目にしました。
 そんときは、小説家という本業の傍ら、役者などもしていられる筒井氏の自己正当化のような気がして(このへんも若者真っ盛りでした)なに言ってやんでえと思ったものでしたが
 今思うと、それくらい良い意味でゆるい視点、生暖かく見守る視点はいいもんだなあと思います。

 武術の取材を通して学んだことに、師匠に姿勢を直されただけで、ふだん効かない技が効いたり、出なかったパワーが出る。
 別に急に筋力が増えたりして強くなるわけではなく(笑)、それはきちんとした「型」の持っているパワーなわけです(無駄なく全身が協調して使えるようになる)。
 あくまで一時的なもので、それが自分の体にしみこまない限りは、もう一度別のときにやってみろと言われても、そばでチェックしてくれる師匠がいないと無理なんですが
 「型」にはそういう威力もある。
 だから、中身によって導かれる外側もあれば、外側によって導かれる中身もある。

 どれか一つだけ突出し過ぎて、歩調があまりにも合わなくなると、それは無理が起こってダメになると思うんですが
 多少のあとさきはあって当然。
 「心口意(しんくい)」、「思い」と「ことば」と「行動」が、同じ旅を行く仲間のように、自分と言う原子の「原子核」のまわりをぐるぐると「電子」のように回りながら、進んでいくのが人間じゃないかと思います。
 三つの足並みをきっちりレーザーのようにそろえられたら、それはまた別の、新たなパワーと境地なのかもですが(ガンディーの言葉に「幸せとは、あなたの考えと言葉と行いが調和してること」というのがありました)。
 それまではまあ、ぼちぼち気楽に、後先に戯れる「旅の仲間」とともに
 人生、進んで行ければと思うものです♪


追記 
 鈴木秀子氏の『奇蹟は自分で起こす-幸せになる1ミリの法則』(海竜社)という本に、ホイヴェルスという人の話がありました。
 生前は上智大学の教師などされて尊敬を集めていたドイツ人の神父さんなのですが、晩年ボケて、食事を食べたあと、それを忘れて食堂に見えるようになった。

<「神父さま、もうお食事は召し上がられましたよ」と言うと「あっ、そうですか」と言って素直に帰っていく。年をとると食べたのを忘れて「いやいや、食べてない、もっと食べる」と言うのが普通ですけれども、「あっ、そうですか」と言って素直に帰っていらっしゃったというのです。長年の修練というものが、ボケてしまっても、現れるものだと、周りの人は感嘆したというのです。>

 見せかけだけの「ものわかりよ良さ」や「善人ぶり」などでなく、外見と中身とこれくらい歩調のあったジジイになれたらうれしいなあと思うものです(笑
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