あつじ屋日記
まんが家・山本貴嗣(やまもとあつじ)の日記です。 作品から日々思うことまで色々書いてます。
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三山のぼる『レクイエム』
『レクイエム』

 以前も告知しおておりました
 三山のぼる先生追悼作品集『レクイエム』茜新社 本体1429円
 見本が届きました。

 開くと一気に読み終えました。
 
 すばらしい。

 歳はとられても三山先生は最後まで三山先生です。
 眼福でした。
 枯淡の境地と言うには早すぎますが、達人の技の冴え、確かに拝見いたしました。

 ぶっちゃけ申し上げます。
 最初B5で刊行されると聞いて、私はいささか心配でした。
 いくら三山先生でも大丈夫か。
 好きな人には思い入れがあるだろうけど、そんなサイズでもつんだろうか?

 杞憂でした。
 私の不明をお詫び申し上げます。

 晩年、たまに拝見する絵の中には、何か往時を知るファンからすると、いささか心配になるものもありました。
 体調がお悪いときもあったでしょう。
 精神的に不調なときもおありだったでしょう。
 でも、どんな名選手にも波はあり、たそがれもあります。
 往時の大スターを語るのに、引退間際の状態を基準に語られるべきものではありません。
 まして、急死された三山先生の場合、けして「引退間際」などではありませんでした。

 若いころの『ブリキ細工のトタン屋根』のような艶っぽさはありません。それはそうです。私にも『エルフ17』のころのような二十代の線は引けません。
 人は変わっていくものです。
 美術であれ武術であれ、年齢に応じた動きや作品があり、加齢はけして悪とは限りません。

 晩年の三山先生の画風は、ある意味無駄をそぎ落とした達人の風情を感じます。
 一般的には、どこまでも手をかけたゴージャスな作風が善であり、さくっと描き流した絵は手抜きに見えるかもしれません。
 しかし、この本にある三山先生の絵は、いずれも達人が肩の力を抜いたもので、余人にマネのできるものではありません。
 いや一コマもマネができないとは言いませんが、大半はできないと言っていいと思います。できると言う人はかなりの絵描きか、見る目がない人ではないでしょうか。

 遺作となった巻末の作品も、最後まで三山ワールド(いい意味で)でした。まねのできない境地でした。
 読み終えて私はうれしかったです。
 全盛期はすごかったけどさー、終わりのあれはいただけないよねー、ではなく、最後まで私にとっては尊敬する三山先生でした。
 よかった。
 本当によかった。

 お口に合わない方はおいでかも知れません。
 でも私は好きです。
 また何度か読み返すことでしょう。
 オリジナルも、嶋本周先生とのコンビの作も、いずれも愛すべき作品でした。


 色々な関係者が追悼コメントを寄せておられます。
 本文136~137ページ。
 師匠の村野守美先生に始まり、私と並んで友人の山田貴敏氏も。
 ここに載っておられない方にも、三山ファンはいっぱいおいでです。
 勝手に名前は上げられませんが、ああ、あの先生もそうだったかというような、すごい方々がおいでです。
 影響を受けた作家は数知れず。
 偉大なるかな三山のぼる。

 日本マンガの歴史に、末永く残る輝く星だと私は思います。
 本当にありがとうございました。ありがとう先生。

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