
先日の日記に補足。
業界関係者には言うまでも無いことで、一般の方にもご存知の方がおいででしょうが、普通雑誌におけるマンガの印刷は白黒ページに関しては原則「モノクロ二階調」(いわゆる「活版」印刷)つまり白か黒かのデジタルで行われています。
墨絵のようなグラデーションで濃くなったり薄くなったりということはなく(それは「グレースケール」「オフセット印刷」と言います)一見灰色の部分がありますが、拡大すると細かい白黒の点か線で表されているのです。
理屈よりご覧になるのが早いので画像をご覧ください。
拙著『弾(アモウ)』の一こまですが。
左が「グレースケール」右が「モノクロ二階調」
後ろのソファが左が白いのは塗る前だっただけなので無視してください。
普通「モノクロ二階調」というと、細かい白黒の「点」で表わされているのですが、私は「線」で処理します。
ただの好み、個性なのですが、今のマンガ界でこの「線」処理をしている変わり者は私くらいかもしれません(笑
それはさておき
これは純粋にパソコンの中での作業で、手描きの「執筆」ではなくて「処理」というのが妥当かもしれませんが(笑
この工程は、まず「グレースケール」の絵を作ってから、普通のマンガ雑誌の印刷に合うように「モノクロ二階調」化処理をほどこすのです。
ただ「モノクロ二階調」処理するだけなら簡単ですが、ゴミ取りという細かな汚れの修正が面倒です。かなりな手間です。
無論例外的に「グレースケール」「オフセット印刷」で印刷するマンガ雑誌もありますが、あくまで例外。
一方雑誌ではなくマンガの単行本になると原則みんな「グレースケール」印刷です。
つまり「モノクロ二階調」の活版印刷は雑誌掲載時のみのものなのですが
ケータイやPCで見ることが出来る電子書籍の場合
この「モノクロ二階調」処理をする必要がないんですよね。むしろしてある方がケータイやPCのディスプレイでは変な模様が出たりして(モアレと言います)面倒なくらいで。
つまり「グレースケール」段階のきれいなぼかし具合のままで「完成原稿」になり、読者の方にもその状態でご覧いただけるわけです。
ささいなことかも知れませんが
電子書籍の利点だと思います。
無論「活版」(モノクロ二階調)には「活版」のメリハリの良さもありますけど♪
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