あつじ屋日記
まんが家・山本貴嗣(やまもとあつじ)の日記です。 作品から日々思うことまで色々書いてます。
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ちっちゃく描くこと
これは以前のブログの2007年3月6日の日記の転載です。他の記事も主要なものは、順を追って移転するつもりです。


 私は自分の漫画のコンテを描くのに、だいたいB4やA3の紙を折りたたんで、8等分くらいにして、その一区切りを一ページに割り当てて絵コンテを描きます。
 人によってはノートなどに一ページ一枚を割り当てて描く方もおいでですが
 私の場合、A3あるいはB4に8ページ分のコンテを詰め込むわけです。

 私はとっても小心者なので
 若い頃から原稿を描くときはプレッシャーがすごかったです。
 下描きの際も、B4の一枚の原稿用紙が、茫漠たる白い広野に思えたものでした。
 オレにはこれを征服できるのだろうか?
 見開きページにいたっては目が回りそう。
 さすがに今はちがいますが、最初は本当にしんどかったです。

 ですから、コンテも、これから16枚とか32枚とかの作品を作るんだと思うと、緊張で縮み上がる思いさえしました。
 描く前からそんな状態ではロクなものはできません。
 そこで、自分をリラックスさせ、いい意味で原稿を呑んでかかるためにも、コンテは小さく描くことにしました。

 そこで上記のような描き方を採用したのです。
 これにはもう一つ利点があります。
 漫画はあまり字の部分が多いと、お客様が面倒で読む気をなくしてしまいます。
 その点、ちっちゃなサイズでコンテを描くと、長い文章は書きにくく、自然と限られた語数で語るようになるのでした。

 私はこのシステムでもう二十数年やってきましたが

 今朝(2007年3月6日)の読売新聞の編集手帳におもしろいことが書いてありました。
 「司馬さん(司馬遼太郎)は長編『空海の風景』を400字詰めの原稿用紙に、小さい字で1200字ほど詰め込んで書いたという。「少しでも自分の書いていることを掌握したくて」と語っている。それほどに主人公の人物が大きかったのだろう」

 ああ、すっごく共感!!!
 空海などという巨人を書くには、かの大作家をしてもそうであったかと思うのですが
 私のミニサイズコンテは、もっと手前の些細な動機ではありますが
 何か通底するものを感じて感無量でした♪ 
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