あつじ屋日記
まんが家・山本貴嗣(やまもとあつじ)の日記です。 作品から日々思うことまで色々書いてます。
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失われた者たちの谷〜ハワード怪奇傑作集 (ナイトランド叢書)
『失われた者たちの谷』

失われた者たちの谷〜ハワード怪奇傑作集 (ナイトランド叢書)
  ロバート・E・ハワード/中村 融・編・訳/アトリエサード/書苑新社

 先日ご紹介した『寄港地のない船』に続き、また中村融氏の訳の新刊です。
 書籍は発売直後の売り上げが大事というのは商売柄よく知っているのですが、『寄港地・・・』は仕事に追われて読むのもブログ記事にするのも遅れてしまいました。せめてこの一冊くらいは発売直後にご紹介したい!
 と思ってキーを叩いております;

 作者のハワードは、あのシュワルツェネッガー主演の映画でおなじみコナンの作者です。
 同書、裏表紙のコピーには

「<英雄コナン>の創造者の真髄をここに!
 ホラー、ヒロイック・ファンタシーから、ウェスタン、SF、歴史、ボクシングまで、多彩に展開する怪奇と冒険の世界。
 ハワード研究の第一人者が厳選し、本邦初訳と新訳でおくる傑作8篇!」

 と、あります。
 中村氏は以前、創元推理文庫よりハワード生誕100周年にあたる2007年、新訂版コナン全集の編纂を任され、2013年に完結させています。ご当人は、ハワードの第一人者などと言われては気恥ずかしくて逃げ出したくなるとのことですが(笑)現代日本ではそう呼んでいい人物だと思います。
 この本には、上記のとおり、ハワードのコナンではない様々な短編が収録されています。

 鳩は地獄から来る
 トム・モリノーの霊魂
 失われた者たちの谷
 黒い海岸の住民
 墓所の怪事件
 暗黒の男
 バーバラ・アレンへの愛ゆえに
 影の王国

 最後の一編は、ハワードのコナン以前のヒロイック・ファンタシーであるキング・カル・シリーズのもので、少しコナンの原型のような味わいがあります。
 「暗黒の男」は11世紀のアイルランド人戦士が主人公で、これにもやはり通じるものがあります。
 しかし、その他は上記の紹介文のとおり、様々なジャンルの短編で、いずれもハワードならでなの怪奇趣味が加えられ、何作かは私は脳内でアメリカのコミック界の巨匠、リチャード・コーベンの絵で思い浮かべながら読みました♪(個人的な感想ですw)
 ハワードは30年の短い人生を自殺で閉じた人ですが、「その半数以上は未発表に終わり、生前は一冊の単行本も出ることはなかった」そうです。
 何か死後の評価との落差に、ゴッホやブルース・リーを見る思いがします(いささか乱暴な重ね合わせで、すみません)。
 もっと生きていたらどんな傑作を書き続けてくれたことか。
 
 私がハワードの作品と出会ったのは70年代の初め、中学生の頃でした。
 21世紀の現代にそんな子どもはいるのでしょうか。もはや百年近く昔の作家の作品を、胸躍らせて読む人は。
 今となっては、時にいささか装飾過多にも思える文章を、現代人はどう読むのでしょう?(まあ、それがハワードですけど)。
 しかし、彼の影響は、後世の多くの作家に受け継がれ、形を変え、ジャンルを超えて今のエンターテインメント界に息づいています。
 不肖この私の中にさえも。
 偉大な先達と、その作品を復刻してくださった関係者に感謝と敬意をこめて、同書の刊行を祝いたいと思います♪



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